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未来設定カズケン
夏希と健二さんが一度お付き合いして別れてカズケンに至る場合、どういう道筋を辿るのか、考えた結果こうなった………のだが、なんでこんなに暗いのか。
夏希がかわいそうで、カズケンがちょっと正気を失くしてても大丈夫な方はどうぞ↓
指の先から滴る水滴を洗面器の中に落としきってしまってから、健二は手に持ったタオルをやんわりと絞った。
正座した膝のすぐ先で、佳主馬が熱く、荒い息を忙しく吐き出す。
眉を寄せ、心配げに濡れた指先を日に焼けた額に添わせると、ぱちりと音がするくらいはっきり、佳主馬の目が開いた。
「ごめん、冷たかった?」
「…ん、いい……」
離れようとするのを追って動いた頭が、白い手を逃すまいと敷布団と挟むようにして圧し掛かる。
「佳主馬くん?」
「きもちい、」
だから離れていっては嫌だと、子供のように駄々をこねる佳主馬の額に浮かぶ汗を、絞ったばかりのタオルで拭き取る。
ひとしきり顔や首筋に浮かんだ汗の玉を拭い去ると、タオルを納戸の木の床にそっと置き、自由になった片手で水気を孕んだ黒い髪を何度も撫で、梳いた。
この優しい手は自分だけのもの
高熱に魘され、吐き気をもよおしながら、佳主馬は幸福感に浸ってうっそりと恍惚の笑みを浮かべる。
健二はそれを見て、少し気分が楽になったのかもしれないと誤解し、安堵のため息を吐いた。
健二が夏希と別れたと聞いた時、ひどく複雑な気分になった。
可哀そうにと思おうとする、良い子の自分がほんの少し
それを押し流す大きな大きな歓喜
その波が過ぎ去ってしまって気付く
「ああ、やっぱりね」という、ひどく冷めた残酷な感想
夏希と付き合うことになったと言った彼を目の当たりにして感じたのは、間違いなく絶望だった。
彼を恋うる気持ちを捨てようとした。
捨てられないと諦めてからは、その笑顔を見ることで、悲しみを埋めようとした。
全部偽りのない本音で、本心だった。
それでも一番底の部分で、「夏希姉と健二さんが上手くいくはずがない」と確信めいた見解を、自分はもっていたのだ。
別れろと願う呪いでもない。
ただ純然と、ずっと連れ立って生きていける二人ではないと見る、まるっきり第三者のような無意識があったことを、健二と恋人という関係になることができて初めて自覚した。
健二と夏希が上手くいくはずなどないのだ
だって彼は、
さらりと指を抜いた健二が小さく口を開く。
「あの時、咄嗟に先輩に「分かります」って答えちゃったけど、本当は、俺にはわからなかったんだ。」
佳主馬の知らない「あの時」を語る健二の目は、しっかりと佳主馬を見ていた。
「『分かりたかった』。先輩みたいに、誰かを大切に思う気持ちを。」
健二はあの夏から、段々と常人とは異なる世界へ呑み込まれ始めていた。
いつも自信なさげに丸まっていた背筋が伸びるとき、彼はこことは違う世界を見ている。
冗談めかして勧誘していた理一や侘助がその手の話を振らなくなったと思うと、家族の目を盗んで健二と二人きりになり、小声で会話をすることが多くなっていた。
交わされる真剣な眼差しに、嫉妬心など一瞬で凍りつく。
(健二さん、ねえ、どこへいくの?)
本人には訊けない問いを苛立ちと焦燥のままに年上の男たちにぶつけて返ってきたのは悲しいほど予想通りの戸惑いとたしなめだった。
『神様に選ばれた人間というのは、いるんだ。』
夏希はふつうの女の子だった。
健二が求め、慕った、あまりにもふつうの、可愛らしい少女。
けれども健二はそれに寄り添うかたちにつくられていなかった。
彼が数字の世界におぼれる時間は、年を追うごとに長くなり、深くなった。
夏希が声をかけても決して答えない。体を揺すっても、手は止まらない。引っ叩いてもこちらを向かない。
紙とペンを取り上げた時、「健二君はぞっとするくらい冷たい目であたしを見て、あたしが取ったものをひったくって取り返して、また背を向けたの」と語った夏希は泣いていた。
健二も泣いていた。
夏希にひどいことをしたのだと、どうにもできない自分が悪いのだと、悔恨と悲嘆にくれる、一層薄くなった体を抱いて、佳主馬は泣かなかった。
(どこへ行ったって構わない。ぼくが、健二さんを追いかける。)
形振り構ったりしない。遠い道程も苦になどなるものか。
あの夏から自分はずっと勝ち目のない戦いに挑み傷だらけであがき続けた挑戦者だったのだから。
佳主馬は健二が食事をとらなくても、眠らなくても、自分の声に答えなくても、決して紙とペンを取り上げたりしない。
疲れ果てて事切れたように眠り込む健二をそっと抱き上げて風呂に入れ、着換えさせて、あたたかいベッドに運んでから、隣で一緒に眠る。
数日食事を摂らなくても栄養失調で倒れたりしないように、普段から十分なくらい食べさせる、その為に料理の腕を磨いた。
自分を見てくれなくても、寂しくても、きっと健二がここへ戻ってきて、疲れ切った顔で申し訳なさそうに眉を垂れ、「ごめん、佳主馬くん」と言ってくれると 信じて待つ。
彼の友人が言った、「傍から見たらどっちも正気じゃない」。
そんなことは、誰よりも佳主馬が一番よく分かっている。
段々と、『世界』とかけ離れていくのが分かる
だけど健二さんの表情は前よりずっと豊かになったし、我儘だって、言ってくれるようになったんだよ
「佳主馬くん、」
熱のために目尻に溜まり、溢れた涙を親指でこすって、健二は困ったような、悲しんでいるような、美しい微笑みを浮かべた。
「早く、元気になって。」
そっと頬を包み、慈しむ右手に擦り寄って、佳主馬は泣いた。
「健二さん」
「うん」
「健二さん」
「うん」
「好き。健二さんが好き。ぼくが世界で一番、健二さんを好きだよ。」
流れた涙が二人の皮膚の間で滲んで薄い膜を作る。
「…うれしい、」
見上げた佳主馬の涙で潤む視界で、幸せな恋人の片割れの顔をした健二が、泣きそうに微笑んでいた。
神様の子供たち
(あなたは ぼくの ぼくだけのもの)
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健二さんがあのままとんでもない才能を開花させたら、夏希じゃ手に余る可能性は多分高いんじゃないかなと思いました。
誰にも真似できない才能の持ち主という点で佳主馬は健二さんの同類であり、彼がほしがっていたものを知っているので、なんとか頑張って健二さんをしあわせにしてあげておくれ。
見返りに健二さんの愛があれば、そのくらいはやってくれる男だと信じてます。
あ。ちなみにこのキング、ただの風邪っぴきですので、ご心配には及びません(笑)
2009/10/21 サマヲ(カズケン) Trackback() Comment(0)
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