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2025/04/07

残照



坂/口/安/吾の『傲/慢/な/目』を読んで。

なんちゃって前時代パロディです。でも力不足です全力で謝罪です元ネタを知っておられる方はがっかりすること請け合い。雰囲気それっぽいの…を目指した結果がこれだよ。猛省だよ…!

設定をお借りしましたとも言えないほど改竄してしまった上、結末が違います。報われないのが嫌だったんだもの…!!(泣)
ちょっと生々しい表現があるので、閲覧の際はご注意くださいませ!





寂びれた海辺の小さな町に、さる名家の当主たる奥方が招かれた。
ひと夏の間、市長の家の娘の花嫁修業をつけにやってきたとのことだった。
市長が昔大層世話になったというその婦人は、やんごとなき生まれの人物であることが田舎者にも一目で知れ、彼女の周りでは空気さえぴんと強張って付き従うような気配すらあった。
男は彼女の静かな迫力に何も感じなかったわけではないが、老婆を気にかける酔狂もおらず、むしろ女達がのほうが特有の僻みか、当初はどこの馬の骨がどれほどのもの、と陰口を叩いていた。
しかしそれも、すぐに止んだ。

遅れてきた彼女の孫娘の姿を一目見た時、誰もが彼女の偉大さを思い知ったのである。

彼女は祖母と同じく、今時分珍しくなってしまった和装をいつでもかっちりと着込み、片側の前髪を長く顔の前に垂らし、常に俯きがちに長い睫毛を伏せ、口数も少なかった。
侍女が差す傘の下で楚々としている様子と、その肌の浅黒いのが何とも釣り合わない印象を与えたが、赤銅色は驚くほどにつややかで、それ以上に深い色をした烏の濡羽が目に見える部分の肌をほどんと覆い隠してしまっていたから、かえって隠されるものの神秘、人世を離れた美の証のようにも思われて、誰も彼女を醜いと感じるものはなかった。
彼女は招かれた市長の屋敷からあまり出ず、一日一度、散歩の時にのみ侍女を伴い町へと下りてきた。
多くは祖母と連れ立ってのものであり、町のものが何か声を掛けても決して返事を返すどころか一顧だにしなかったが、共に歩く祖母が言葉を掛ければ必ず耳を近付け、時には「はい」と囁くような声で返事をする。
ただ歩く姿、たった一声の発する方法、そのどれもがこの田舎には馴染まないのに自然は彼女を受け入れる。
人家を離れ、海へ近付くと、どうしてか彼女の後姿はそこでだけこの夏の景色の中に溶け、強く拒絶する輪郭が細り、滲んだ。
彼女もそれを知っているように、町へ下りたら必ず海までは足を伸ばし、身に合わぬ空気を潮風で洗い流してから帰るように、砂丘に上り、暫時じっとそこへ佇むのであった。



或る日のこと、いつものように身を清めていた彼女の横顔を、強い視線が射抜くのを感じた。
彼女はすぐに振り向き、自分を見つめる傲岸な目を発見した。
中学校の制帽の下からひたとその顔を見るふたつの目が、微動だにせずそこにあった。
彼女は女中たちのことなど構いもしないで傘の下から歩み出ると、淀みなく足を動かしてその目の前に立った。
「貴方はなぜ私を憎らしいもののように睨むのですか。」
真夏の焦げ付くような太陽の下で、冷水を頭から浴びせられたように、少年の肩が震えた。
幽かに唇を戦慄かせ、何か返事をしかけて結局は一言も発さぬまま視線を落とし、手に持ったノオトを皺が出来るほど握りしめた。
「私が貴方に何かいたしましたか。それとも、珍しいですか。」
彼女が糾弾するとされるがままにくるりと丸まる猫背が、薄いシャツにじっとりと張り付く。
その内に少年は同じく手に持っていた鉛筆を指の間で弄び始めた。
自分と真反対、不健康に白い頬を睨みつけ、彼女は止めを放った。
「―――二度と、睨んだりなさいませんよう!」
さくさくと砂を踏み傘の下に戻った彼女に「あの方きっとお嬢様を思っているのでございます」と内緒事のように耳打ちしてきたが、再びあの視線を感じた彼女はそれを聞いてはいなかった。
しかし、一度背を向け戻ってしまったからには致し方ない。
今度あったらもっときつく叱責してやろう、そう決めて帰路を急いだ。



翌日、同じ刻に、初めて彼女は供を連れずに自分で傘を持って砂丘を訪れた。
あの傲岸な目は果たして同じ場所でぼうっと海を見つめていた。
彼女に気付くと栗鼠の如き俊敏さで振り向き、目に見えて狼狽したが、眉間に皺を寄せたまま、昨日と同じ目で彼女を見つめるのだった。
昨日と異なっていたのは、その持ち物だった。
近づくと、画布と、幾本かの筆と鉛筆らしきものが握りしめられた骨ばった手が見えてくる。
「貴方はこの町の中学生ですか。」
「そうです。」
少年は間髪入れず、はっきりと答えた。
「画家になるのですか。」
今度の質問には、少し迷うように瞳を揺らした後、それでもこくりと頷いた。
その間も、彼の視線は決して彼女の顔から動こうとはしなかった。
ふと、彼女の心中に余裕のようなものが生まれた。ほわりと生まれた塊の生んださざ波が顔に表れ、浮かんだ微笑を真正面から見てしまった少年は、慌てたように目を逸らすとがちゃがちゃと絵筆に絡ませた指を握ったりほどいたりした。
彼女は徐に、彼の背にしていた木陰に腰を下ろすと、ぺたりと足を着けて座り込み、海を眺める格好を取った。
しばらく戸惑いを含んでその姿を見つめていた少年は、やがてある一定の距離を取り、炎天下の下に正座をして座り込むと画布をそっと脇にどけ、隠れていた写生帳を開くと鉛筆を執った。

素知らぬ顔で、汗を拭き拭き手を動かす少年を横目で窺っていた彼女は、太陽が移動して影がじりりと動いてから、笑いながら私を描いているのですかと呟いた。
少年は汗の滴る額をたなごころでぐいと押し上げながら、きっぱりと一言
「動かないで下さい。」
と返すので、彼女は急に立ち上がると、生き生きと弾んだ声で手をぬっと伸べて言った。
「見せなさい。」
命令に従うことを躊躇うようにじっと手の中の紙を凝視し、鉛筆を握り締めた少年はしかし、結局はその声に負けて、二、三筆手入れをしてから写生帳を差し出した。
受け取った手汗を吸った紙を満足げに捲ると、彼女は検分するように一枚一枚をじっくりと眺めた。
そこには、同じ格好で座る彼女のまさしくその姿が写し取られている。
「そうだね、じゃ、モデルをやってあげる。明日この時間に新しいカンバスを用意して、ここで待っていて。」
少年が驚きに目を見開いて彼女を見上げる。
やはり栗鼠のようだったその素早い動きをかわすほどの潔さで彼に背を向けた彼女はさっさと傘を拾い上げ、それを開いて立ち去ってしまった。

それから七日の間、二人は同じ時間に砂丘に上った。
約束の通り持ってきたまっさらなカンバスを挟んで相対し、彼女は木陰にじっと身じろぎもせず、少年は日向にイーゼルと椅子を立てて汗をだくだくと流しながら、水も飲まず一心に彼女を描いた。
画面と彼女の顔を行き来するその視線は、涼しい横顔を焦げ付かさんとするかように熱を籠らせ、画布などいつか穴が開くに違いないと、彼女はずっと思って過ごした。
二人の間に会話はなかった。ただ時折、ふらりと彼の頭が傾ぐように見えた時、彼女は「暑くないですか」と気遣うような言葉をかけるのだが、彼は一向それに答えようとはしなかった。
八日目になった。
その日は祖母が急用で一度家に帰らねばならないと言うので、彼女も已む無くついて帰った。
少年に断りはなかったが、三日もすれば済むだろうと多寡をくくっていた面倒事は一日経ち、二日を要し、やっと戻った翌日からは数日雨の日が続いた。
彼女は雨上がりの砂地を、泥を跳ね上げながら走った。気付けはあの砂丘に足を運ぶのが十日ぶりになってしまった。

いつもの場所で、画布に向かう彼の横顔を見つけた。

「―――明日、家へ帰るのです。」
「もう一人で仕上げることができます。」
少年は、冷たく強張った声で答えた。答えながら、それまで描いていた何ものかをイーゼルから外し、膝の上に抱えていた画布を取り上げ立て掛けた。
それは彼女を描いた画布であった。
彼女が予期しなかった美しさ、彼の言葉通りあといくつも筆を加えれば完成されてしまいそうな風の少女の絵が、そこに座っていた。
彼女はまだ湿っている木陰に座った。
彼は丁寧に何度か筆を走らせて、そして初めて燃えるような激しさの消えた目で、彼女を見た。
「お別れなんだ。明日、帰る。」
「もう、一人で仕上げられます。」
その声は、やはりはっきりと響いた。
感情をうかがわせないような固い声を発する口はかすかに震え、眉間には皺が寄っていた。
いつもの力の入った眉ではない、切なげに寄ったそれは、彼女を詰っているようでもあった。

立ち上がり、制帽を脱いで、ぎこちなくお辞儀をした少年を、駆け寄った少女が抱きすくめた。

そのまま抗えない強い力で大樹の陰に引き摺り込むと、突き倒した少年に覆いかぶさって、自分の胸元を乱暴に肌蹴る。
あるいは苦しさに耐えきれず掻き毟ったのかもしれなかった。その胸に、少女らしい膨らみはなかった。
突き倒され、帽子もどこかへと放り出してしまった少年は、驚く様子も見せずじっと自分を見下ろす眼を見つめ返した。
眼と眼を合わせたまま、浅黒い手が汗で湿った薄汚れたシャツの胸を撫でる。
ひとつ、またひとつと釦を掛け穴に押し込んでくぐらせるのを感触だけで感じて、じっと見つめるばかりだった少年が、木の葉で覆われた空へと手を突き出した。
ふらふらと揺れた両手が、綺麗な着物の襟に辿りつく。
左手を頸に、右手をその裏側の咽喉にひたと触れ合わせた少年が、陸に揚げられた魚のように、ちいさく唇を動かして空気を食んだ。
白いたなごころの下で大きく鳴った咽喉が動き、しなやかな獣の前肢を思わせる腕が少年のこうべを囲った。
眼を合わせたまま下りてくるその顔よりも、体が重なるほうが早かった。最早擬態を解いた彼女―――彼女の振りをしていた彼が、脚を大きく開き、だらりと投げ出された少年のズボンの脚にすべやかな肌を絡める。
布越しの大腿に熱を持った欲望が当たり、少年がぴくりと腰を震わせる。
何か言葉を紡ごうとしたその口をようやく下りきった唇が塞いで、少年の頬が朱に染まる。
彼と正対したまま、初めてその目が閉じられた。











「残してきた恋人がいるんだ。まだ中学生だった時分から絵の天才だった。」
中学に上がり、寮に入った彼は寡黙であった。
しかるに同室になった唯一友人と呼べる男に初めて打ち明けた身の上話がいきなり色恋沙汰だったことは、その友人さえ大いに当惑させた。
彼は悪戯っぽく微笑って見せ、うっとりとどこか夢を見ているような目で、窓越しに夏の空を見上げた。
「今年こそ、また会える。」





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……………………どんな言い訳をすればいいのかも思いつかない…。

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2009/11/11 サマヲ(カズケン・Wパロ) Trackback() Comment(0)

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本命は鰤の旦(本館サイト運営)、現在はTOVのおっさんと青年に夢中の腐女子。
その他では、サマヲ(カズケン)ジャイキリ(椿達)でたまに更新あり。
受け攻め無節操に女体化させる・ベタネタ・下ネタを多用するという悪癖あり。
 
 
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